夕闇桔梗の夢の雫

(株)トミーウォーカーのPBW「シルバーレイン」の一条・姫乃(b64945)、同「エンドブレイカー!」のルナ・ブランシェ(c00642)、ツクモガミネットのPBW「螺旋特急ロストレイル」の水元千沙(cmaw2190)のなりきりブログです。
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| 2011.12.18 Sunday () | - | - | - |
夏の夕暮れ
うちの浴衣は白地に桔梗。
桔梗は好きな花やから、お気に入りやねん。
 ひめのん浴衣

佐々木候補生さん、ほんまおおきに!

こっから先は、背後さんの書いたSS。
候補生さんに頼むのもおもろいかも知れへんけど、自分で書きたいんやって。

***********************

 てんてんつくつく、てんてんつく。
 どこか懐かしさを誘う祭囃子が何処からか聞こえて、姫乃はわずかに立ち止まった。
(「……ああ、もう夏祭りの季節やな」)
 姫乃は、夏祭りを満足に楽しんだ思い出があまりない。それは転勤族の父親の仕事の都合でしょっちゅう転入出を繰り返していたからなのだけれど――
 今年は、違う。
 両親は今、某国の首都で夫婦水入らずに過ごしているはずだ。
 父に海外転勤の話が舞い込んできたときは、流石に母も、もちろん姫乃も驚いた。
「治安はそれほどよくない国なんだが、お前たちはついてくるか?」
 父はそう尋ねた。海外で暮らす機会などそうあるものではない。たとえこの日本よりも不便でも、それはチャンスだった。……普通のものならば。
 ――けれど。
「……うち、日本に残るわ」
 少し寂しそうな笑顔を浮かべて、姫乃はそう言い切った。両親は驚いて理由を問うたが、それを答えることは非常に難しくて……

 小さいころから眠るのが大好きで、隙あらば昼寝を繰り返していた。
 だからだろうか。
 現と夢の境界線がだんだん曖昧になってきたのは、中学に入って間もないころだ。
 気がつくと他人の見ている夢にシンクロする。
 それは精神のみが他人の夢に入り込む『ドリームダイブ』だと知ったのはもっとあとだけれど、自分が異端であることはうすうす感じていた。本人にしか知りえないはずの情報が、頭に流れ込んでくるのだから。
 ただ、それでもなぜか彼女は不思議にこそ思うが不気味とは思わなかった。
 他人の夢の中はどこか歪んでいて、そして姫乃にはそれを癒す力があった。
(「大丈夫、うちはいつもみんなの味方や」)
 そうつぶやいて、そして夢を癒す。夢は純粋な思いの塊なのだから、それが歪み傷ついているのは必ず理由がある。本人はささくれほどにしか表層で感じていなくても、夢という深層の賜物の中ではそれが増幅され、そしてその夢の主を苛むこととなる。
 気づけば、それを癒すのが当たり前になっていた。傷ついている姿をみるのは、いやだったから。
 そしてその力が異端であることもわかっていた。しかし彼女はそれを受け入れていた。ごく、自然に。
 ……だから、インターネットをしているとき、『それ』を見つけたのは偶然だったのか、必然だったのか。
 不思議な出来事を集めた匿名の掲示板。
 そこに、同じような『異端』をもつ少年少女がさまざまに書き込んでいた。
 そして彼らは自分たちのような存在が数多いることをそれとなく示唆していた。
 『銀誓館』という学校を知ったのは、それらの書き込みのどこかだ。
 気になってインターネットで検索してみると、鎌倉にある私立のマンモス校であることがわかった。学校紹介のサイトにはごく当たり前のことしか書かれていない。
 ただ、その学校の雰囲気はとてもリベラルらしく、興味を持ったのは確かだった。生徒争奪で苦心しているこのご時世に、まったくそれらしきことも書かれていないのは、そんなスクールカラーだからかもしれない。一人暮らしの生徒も多く、近くには下宿や寮もさまざまにあるのだという。
「……銀誓館……」
 なんとなく、胸に残る名前だった。

 両親の海外行きが決まったとき、思い出したのは銀誓館学園のことだった。
「なあお父ちゃん、鎌倉にエスカレーターの学校があるんやて。一人暮らしの子も多いて学校案内に書いてあってん」
 そう提案すると両親はまたもや驚いた。まだ義務教育中の娘を一人にするわけにいかないと考えたのだろう。しかし姫乃が学校案内のサイトを見せると、驚きもしたが納得もしたようだった。
「へえ……こんな学校あるんだな」
「でも私立って、姫乃、編入試験とかあるんじゃない?」
 母が心配そうに問いかける。一芸の編入入試もあるから大丈夫だと姫乃は笑った。
「うち、海外に行くよりも日本でまったりしてたいし」
 ……最終的に、両親は『できる限りメールなどで連絡をよこすこと』という条件を付けて、一人娘の日本残留を認めたのだった。

 そして彼女は知る。
 世界のほころびを。
 それを食い止めんとする能力者たちを。
 彼女の夢もまた、その力の一端であるということを。

「……もう、夏やなぁ」
 姫乃はそうつぶやいて髪を軽くかきあげる。ふわりとシャンプーの香りがした。
 鎌倉に来て一ヶ月と少し。その間にいろいろなことがあった。
 何よりも大きいのは、出会い。ぬばたまの髪と柔らかな灰色の瞳の持ち主は、どこか優しい気持ちにさせてくれる。
 とくん、と高鳴る胸。
 そういえば、今年は夏をゆっくりとすごせそうだ。いつも何かしら忙しかったから――
 いや、もちろん今年も忙しいのだけれど、でもそれは目が回るほどに忙しくてもきっと楽しい思い出になってくれる。みんながいるから。仲間がいるから。
 そうだ、せっかくなのだし夏祭りにいこう。
 お気に入りの桔梗柄の浴衣を着て、きゅっと帯を締めて。
 その傍らには、きっとあの人。
 みんなでわいわい楽しんでもいいけれど。
「……あははっ」
 思わず笑みがこぼれる。

 まだ、夏は始まったところ。
 そしてまだ、楽しいことはこれからたくさんやってくる。


*********************

なんや突発的に書いたのにえらい分量な気ぃするて背後さん。
ま、たまにはこんなんもええかもな。


追伸。
書いてから文字数カウントしたんよ。
2095文字。原稿用紙5枚分。
……筆がのったからて、やりすぎや。(苦笑



| 2009.07.09 Thursday (15:33) | 姫乃のそーさく | comments(0) | trackbacks(0) |
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| 2011.12.18 Sunday (15:33) | - | - | - |
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スカード、杖の星霊術士
象徴物は月、月長石を愛する元気娘。

螺旋特急ロストレイル
水元 千沙(17)
大正生まれの女学生コンダクター
日本画が得意、トラベルギアは筆
神戸育ちの大正浪漫娘。
イラストに関する覚書
 この作品は、株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のイラストとして、立夏が作成を依頼したものです。
 イラストの使用権は立夏に、著作権は各イラストマスター様および候補生様に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
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